相続

遺言の方式


  普通方式の遺言である、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言について説明します。

自筆証書遺言

  『自筆証書遺言(じひつしょうしょゆいごん)』とは、氏名や年月日を含め全文を自筆で書く遺言です。 読み取れる字で、読む者が理解できる文言を用い、法的に有効でなければなりません。
遺言書に封をしたり、封印することは必ずしも要求がされていませんが、封がある場合には家庭裁判所で開封することが必要となります。

自筆証書遺言作成の注意点


  • 遺言の全文、日付(年月日)および氏名を本人で書く
  •   ワープロや代筆による遺言は無効となります。

  • 本人の署名・押印が必要

  • 遺言の内容、特に財産の特定は、わかりやすく正確に書くこと

  • 遺言内容の一部を訂正、加除を行うには、規定に従って行う必要がある
  • 遺言の字句を訂正したり加除した場合は、(1)変更した場所に捺印をし、(2)上部欄外に○字抹消、○字加入と記載して捺印するか(3)遺言の終わりに「○行目○字削除、○字加入」と記載した上で署名捺印 するなどの方式によって訂正の事実を明確にしなければなりません。 もし、この方式に従わなかった場合には変更がなかったものとして取り扱われることになりますので注意が必要です。
        訂正・加筆するより、改めて書き直す事をお勧めします。

自筆証書遺言の長所・短所


  • ■長所
・簡単に作成できる
・遺言した事実を秘密に出来る
・簡単で費用があまりかからない

  • ■短所
・保管方法に注意が必要
・第三者に偽造されるおそれがある
・検認手続が必要になる
・方式の要件の不備を知らずに遺言書を作成してしまうおそれがある

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公正証書遺言

  『公正証書遺言(こうせいしょうしょゆいごん)』とは証人2人以上の立ち会いのもとで遺言者本人が口頭で述べた内容を法律の専門家である公証人(*公証人は裁判官、検察官、弁護士などの法律実務経験者や一定の資格者の中から法務大臣によって任命されます。 )が公証人法・民法などの法律に従って筆記し、 公正証書として作成するものです。

証人


次の人は遺言の証人または立会人になれません(民法974)。
 1、未成年者
 2、推定相続人受遺者およびその配偶者並びに直系血族
 3、公証人の配偶者、4親等内の親族、書記および雇い人

公正証書遺言の作成


  • 1:証人二名以上の立会いの下、遺言者が遺言の内容を公証人に口授し、公証人がこの内容を筆記します。

  • 2:公証人が筆記したものを遺言者と証人に読み聞かせ又は閲覧させて遺言者と証人が筆記の内容が正確であることを承認し、これに署名押印します。遺言者が署名できない時には、公証人がその理由を付記して署名に代えることができます。

  • 3:最後に公証人が正規の手続きによって遺言書が作成された旨を付記して署名押印すれば公正証書遺言が成立します。

  • 4:公正証書遺言の原本は作成した公証役場において保管がされます。

公正証書遺言の作成に必要な準備


■遺言の内容を決める
・遺言者の印鑑証明書・戸籍謄本を用意する
・受遺者の戸籍謄本・住民票(親族以外の人に遺贈する場合)を用意する
・財産の内容が分かる資料(不動産の登記簿謄本・評価証明書など)を用意する
・法人の登記簿謄本(会社等の法人に遺贈する場合)を用意する
・証人の住民票を用意する

遺言公正証書作成の手数料


目的財産の価値 手数料の額
100万円まで5,000円
200万円まで7,000円
500万円まで11,000円
1000万円まで17,000円
3000万円まで23,000円
5000万円まで29,000円
1億円まで43,000円
1億円を超え3億円まで43,000円に 5000万円毎に13,000円を加算
3億円を超え10億円まで95,000円に 5000万円毎に11,000円を加算
10億円を超えは249,000円に 5000万円毎に8,000円を加算
※財産総額が1億円未満の場合、11,000円が加算されます。(公証人手数料令第19条)
(例1):相続人が3人で相続財産が1人1000万円の場合の手数料
17,000円×3+11,000円=62,000円
(例2):相続人が2人で相続財産が1億5000万円、5000万円の場合の手数料
56,000円+29,000円=85,000円

公正証書遺言の長所・短所


  • ■長所
・公証人によって遺言の内容が筆記される為、法的・文法的に無効な遺言となるおそれがない
・検認の手続きが必要ない
・作成した遺言書の原本は公証役場で保管されるので、紛失や偽造、変造のおそれがない

  • ■短所
・公証人手数料が掛かる
・遺言作成に必要となる書類を準備しなくてはならない

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秘密証書遺言

『秘密証書遺言(ひみつしょうしょゆいごん)』とは、「内容」を秘密にしたまま、「存在」のみを証明してもらう遺言のことです。 自己の管理下で作成した遺言書を公証役場へ持ち込み、遺言書の「存在」を公証人に証明してもらいます。 自筆証書遺言の場合と異なり、遺言者が必ずしも遺言を自筆しなくてよいのが特色で遺言の内容を秘密にして遺言をすることが出来ます。 秘密証書遺言は遺言書そのものの方式ではなく、遺言書を秘密に保管する為の方式である為に書面自体には定められた方式はありません。

秘密証書遺言作成の注意点


    ・ パソコンの使用、代筆が可能
    ・ 封入・封印が必要
    ・ 本人の署名・押印が必要
    ・ 遺言の内容、特に財産の特定は、わかりやすく正確に書くこと
    ・ 遺言内容の一部を訂正、加除を行うには、自筆証書遺言と同じ方式で行うことが必要

秘密証書遺言の長所・短所


  • ■長所
・遺言の存在を明確にできる
・遺言の内容は秘密にできる
・公正証書遺言と比べ、手数料が安価であること

  • ■短所
・保管方法に注意が必要
・検認手続が必要になる
・方式の要件の不備を知らずに遺言書を作成してしまうおそれがある

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特別方式による遺言


一般危急時遺言


疾病その他で危篤になって、遺言の必然性が差し迫っているときに認められる遺言方式です。
  • ・作成要件
1 証人3人以上の立会いをもって、その1人に遺言の趣旨を口授する。
2 口授(口がきけない人の場合は通訳人の通訳)を受けた証人がそれを筆記する。
3 口授を受けた証人が、筆記して内容を遺言者及び他の証人に読み聞かせ又は閲覧させる。
4 各証人が筆記の正確なことを承認した後、遺言書に署名し印を押す。

難船危急時遺言


船舶の遭難という緊急事態になって、遺言の必然性が差し迫っているときに認められる遺言方式です。
  • ・作成要件
1 証人2人以上の前で、口頭(口がきけない人の場合は通訳人の通訳)で遺言をする。
2 証人が遺言の趣旨を筆記して、署名印を押す。なお、遭難が、止んだ後、証人が記憶に従って遺言の趣旨を筆記し、これに署名・押印しても差し支えない。

一般隔絶地遺言


行政処分で交通を断たれた場所にいる場合に認められた遺言方式です。
  • ・作成要件
1 警察官1人及び証人1人以上の立会いがあること。
2 遺言書は遺言者が作成する。
3 遺言者、筆者、警察官及び証人が署名し、印を押す。

船舶隔絶地遺言


船舶中にある場合に認められた遺言方式です。
  • ・作成要件
1 船長又は事務員1人及び証人2人以上の立会いがあること。
2 遺言書は遺言者が作成する。
3 遺言者、筆者、立会人及び証人が署名し、印を押す。

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